新型コロナの影響で、オンライン学習への注目度が一気に高くなりました。
たしかに、オンラインで何かを学べるのはとても便利です。
しかし
「オンライン学習で効率的に勉強できるのかな?」
「オンラインで学ぶより対面式の方が効率良く学べるのでは?」
という不安や疑問を感じたりする人はけっこういると思います。
じっさいのところ、オンライン学習と対面学習ではどちらが学習効果が高いのでしょうか。
日本よりもかなり前からオンライン教育を導入しているアメリカでは、アメリカ教育省が10年ほど前に大規模な研究を実施しています。
その結果
オンラインで学習した人の方が対面で学習した人よりも学習効果が高かった
ということがわかっています。
この記事では、アメリカ教育省が発表した研究内容のレポートの中から大事な部分をいくつか紹介します。
メタバースなどを含めたオンラインで学ぼうか、それとも通学で学ぼうか迷っている方はぜひ読んでください。
オンライン学習は効果が高いし思考力を高める
アメリカ教育省は、1996年から2008年にかけて発表されたオンライン学習に関する研究1,000件以上を分析し、その結果を
「Evaluation of Evidence-Based Practices in Online Learning」
というレポートで発表しています。
正直なところ、2008年以前にオンライン学習している人と、いまオンライン学習している人の状況や理由はけっこう違うと思います。
通信回線や学習するための機器(パソコン・タブレット等)なども、今とは天と地ほどちがいます。
だから鵜呑みにするのはどうかと思いますが、ひとまず結果として
「対面学習よりもオンライン学習の方が効果が高い」
という結果が出ています。
そして、とくに思考力や認知能力を高めるトレーニングではオンライン学習の方が良い効果をもたらす傾向が強いそうです。
これは、オンライン学習の方が周囲にまどわされず自分のペースで考えたりできるからかもしれませんね。
ただ、レポートには
「オンライン学習する人は、対面で学習する人よりもたくさんの時間を学習につかっている」
とあります。
だから単純に学習時間が長かったから学習効果があったのかもしれません。
オンライン学習なら通学などの移動に時間がかかりませんし、余った時間で好きな時に好きなだけ勉強できますしね。
他にも、このレポートで発表されていることを紹介します。
オンライン学習と対面学習を組み合わせると、効果はより上がる
レポートによると、何かを学ぶときは
- オンライン学習
- 対面学習
これら両方を組み合わせると学習効果が高くなります。
ミックスすると学習効果が上がる理由としては、オンラインと対面では利用する教材が違うことが考えられます。
両方の教材をつかって学習することで、学習時に接する情報量が増えるから成績が上がるのではないか?ということですね。
もし英会話やプログラミングをスクールで学ぶとしたら、オンラインと対面を組み合わせたミックス型の方が効率的かもしれません。
オンライン学習するなら他の生徒と一緒に学ぶべき
つぎはオンライン学習における仲間・友人の重要性についてです。
オンライン学習には一人で黙々と勉強するイメージがありますが、どうやら独習はあまり良くないみたいです。
レポートによると、一人きりでオンライン学習するよりも、他の受講生とコミュニケーションを取る機会がある方が学習効果が上がるそうです。
LinkedInが2021年に発表したレポートでも
「Q&Aや学習グループなどのソーシャル機能をつかった学習者は、そうでない人よりも30倍も多くの学習コンテンツを視聴していた」
とあります[1]LinkedIn:2021 Workplace Learning Report。
やっぱり人は他の仲間と一緒になって学ぶと、学習に対してのモチベーションが上がる、ということですね。
すららネットという会社が慶應義塾大学・一橋大学と共同でおこなった研究でも、以下のような結果が出ています。
チームで学習した生徒は個人で学習した生徒よりも学習生産性が14~20%上昇し、さらには英語・数学の学力テスト成績も高いことが示されました。
オンラインでもいわゆる「ピア効果」が期待できる、ということですね。
なので、もしオンラインで何かを学ぶなら、受講生同士が交流できる仕組みがあった方が学習の生産性が上がりそうです。
その他オンライン学習の注意点
レポートではここまで紹介した以外にも、効果的にオンライン学習するための方法として以下の方法を紹介しています。
- 文字だけのテキストで学ぶのもいいが、画像や動画を使った方が学習効果が高くなる
- ただ何かを記憶するよりも実践的な内容で学習した方が効果が高い
- 学習した内容を振り返るような機会があると学習効果が上がった
オンライン学習が効果的だといっても、ただ本を読んだりするだけでは学習効果は高くない、ということですね。
やはりアクティブラーニング的な要素を入れないと学習効果は上がらないみたいです。
能動的に学ばないと高い学習効果は期待できない
ここまでオンライン学習の効果を説明してきましたが、結局のところ
- オンライン学習
- 対面学習
このような学習形式よりも、能動的に学習できているかどうか、こっちの方が間違いなく大事です。
なので、オンライン学習よりも対面学習の方が能動的に学習できる人なら、対面学習を選ぶべきだと思います。
とはいえ色々な事情があるので、どちらを選ぶにせよ能動的に学べるような工夫をすると効率的に学べると思います。
引用・脚注
↑1 | LinkedIn:2021 Workplace Learning Report |
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