プロテウス効果という現象があります。
簡単に言えば、VRやメタバース内で装着したアバターが装着者の心身に影響を与える、という現象です。
仮想の身体が現実世界にいる人の心・体に影響を与える、ということですね。
プロテウス効果はメタバースで活用できそうなので、どんな風に活用できそうかを紹介します。
プロテウス効果とは?
冒頭で簡単に説明しましたが、プロテウス効果についてもう少し詳しく説明します。
メタバースなどの仮想空間では、私たちはアバターで仮想の身体を得ることができます。
このときアバターがなんらかの特徴を持っていたら、その特徴に私たちの性格やスキルが引っ張られます。
この現象がプロテウス効果です。
プロテウス効果に関連する実験は数が多く、すでに
- リズム感のありそうなアバターになると打楽器が上手に叩ける[1]Researchgate:Drumming in Immersive Virtual Reality: The Body Shapes the Way We Play
- 背が高い人のアバターになると交渉で強気になる[2]Virtual Human Interaction Lab:The Proteus Effect: The Effect of Transformed Self-Representation on Behavior
- 珊瑚礁や子牛のアバターになると環境に対する意識が高まる[3]Oxford University Press:Experiencing Nature: Embodying Animals in Immersive Virtual Environments Increases Inclusion of Nature in Self and Involvement with Nature
などが実験でわかっています。
The Proteus Effect: The Effect of Transformed Self-Representation on Behavior
東京大学の鳴海拓志准教授に関連した記事などもおすすめです。
プロテウス効果はメタバースでどう活用できるか?
メタバースで具体的にプロテウス効果を活用できそうな方法を紹介します。
じっさいに活用するときは、その人が持つイメージによって変える必要があるので注意してください。
① 英語学習
メタバースは教育での活用が期待されており、すでに英語学習分野ではfondiがあります。
日本人は英語が苦手です。
このイメージがあるので、メタバースで英語を勉強するときは日本人のアバターではなかなか英語が上達しないかもしれません。
なので思い切って欧米風の顔立ちのアバターを装着してみてはどうでしょう。
何かを学ぶとき、ジェスチャーを使うと学習効率が上がると言われています[4]wiley:Using gestures to signal lesson structure and foster meaningful learning。
欧米人のアバターを使い、なおかつ外国人俳優のような大きめのジャスチャーを組み合わせると、とくに英会話の上達が早くなりそうですね。
フォートナイトでアバターを操作しながら英会話を学べる
などの英会話教室もあります。
これらのサービスでもプロテウス効果は期待できそうです。
② 接客
メタバースでの接客、いわゆるアバターワークでもプロテウス効果は使えそうです。
仮に、無口で人との会話が苦手なお爺さんがアバターワークで働くことになったとします。
このとき、もし若い美少女のアバターで働いたら面白い変化が起きそうです。
言葉遣いが柔らかくなり、なおかつハキハキ喋るようになるかもしれません。
メタバースやVRの世界では、男性の8割近くが女性のアバターを使っているというレポートがあります[5]バーチャル美少女ねむ/Nem⚡メタバース文化エバンジェリスト:ソーシャルVR国勢調査2021。
すでにプロテウス効果を活用している人はいそうですね。
③ プレゼン
メタバースなら、仮想空間にたくさんの人を集め、プレゼンすることも可能です。
プレゼンの名手と言えば誰でしょう。
有名どころだと
- スティーブ・ジョブズ
- ビル・クリントン
- 孫正義
こんなところでしょうか。
これらの人物に似たアバターを装着したら、プレゼンが苦手な人でも堂々とプレゼンができるかもしれません。
アバターを効果的に活用しよう
アバターにはここで紹介したような活用方法があります。
ただ、プロテウス効果には個人差がありますし
- 効果の持続時間
- 本来の人格に与えるネガティブな影響
- プロテウス効果のメカニズム
などはわかっていません。
なので、使うときはいざという時に限定した方がよいかもしれません。
アバターを有効的に活用し、仮想空間での生活を充実させてください。
引用・脚注
↑1 | Researchgate:Drumming in Immersive Virtual Reality: The Body Shapes the Way We Play |
---|---|
↑2 | Virtual Human Interaction Lab:The Proteus Effect: The Effect of Transformed Self-Representation on Behavior |
↑3 | Oxford University Press:Experiencing Nature: Embodying Animals in Immersive Virtual Environments Increases Inclusion of Nature in Self and Involvement with Nature |
↑4 | wiley:Using gestures to signal lesson structure and foster meaningful learning |
↑5 | バーチャル美少女ねむ/Nem⚡メタバース文化エバンジェリスト:ソーシャルVR国勢調査2021 |