メタバースを利用する危険性・リスクを初心者向けに解説

メタバースはインターネットサービスの一種です。
だから、ネットに潜む

  • 詐欺
  • いじめ
  • 誹謗中傷
  • ナンパ

などのリスクは、メタバースにもあります。

メタバース独自のリスク・危険性も存在します。
この記事では、メタバース独自のリスクとして以下の4点を紹介します。

  • 長時間の利用による心と体への悪影響
  • アバターへのセクハラ・痴漢・暴行
  • アバターへの「なりすまし」による被害
  • 企業による膨大なパーソナルデータ収集

それぞれ解説します。

① 長時間の利用による心と体への悪影響

メタバースの多くはVR用のヘッドセットに対応しています。
もしVRヘッドセットを装着してメタバースで遊ぶなら、長時間の利用は避けるべきです。
なぜなら、心身に悪影響があるからです。

ドイツのコーブルク大学は、ヘッドセットを付けて1週間(1日あたり8時間)仕事をすると人の心身にどんな影響があるかを実験しました[1]Quantifying the Effects of Working in VR for One Week
ヘッドセットとは下の画像で男性が装着している器具のことです。
「VRゴーグル」とも呼ばれます。

VR用のヘッドセットを装着している男性

成人16名を対象としたこの実験で、心に関しては

  • 不安感→219%増加
  • フラストレーション→42%増加
  • 幸福度→20%低下

などのような悪影響があることがわかっています。

人体に対しては

  • 眼精疲労→48%増加
  • タイピング速度→8%低下

このような悪影響があることがわかりました。
この結果を見ると、ヘッドセットを着用して長時間仕事をしたり、メタバースで遊ぶのは避けたほうが無難です。

13歳未満の子供は、ヘッドセットの着用に関してとくに注意が必要です。
もし子供が長時間ヘッドセットを利用したら、眼精疲労だけでなく斜視になることがあるからです[2]Mogura VR:なぜ13歳未満の子供は、Oculus Riftを使用してはいけないのか?医学的な見地からの警鐘
斜視になる理由などについては、下の動画で詳しく解説されています↓

この動画の発表者でもある大阪大学の不二門尚特任教授は、子供のヘッドセットの利用について以下のように注意しています。

「メーカーの基準にもある通り、7歳までは目の発達の重要な時期なので使用させない。また、12歳までの子どもについても、引き続き目の発達期であることに変わりはなので、使用は極力慎重にしたほうがいい」

引用元:小児眼科医に聞く、子どもが「VR」を使ってもいい年齢–Oculus社の見解も

もしご家庭に13歳未満のお子さんがいる場合、子供がヘッドセットで遊ばないように注意しましょう。

② アバターへのセクハラ・痴漢・暴行

メタバースでは「アバター」でネット空間における身体を得られます。
そんなアバターに対して

  • セクハラ
  • 痴漢
  • 暴行

などの行為をする人たちがいます。
これは、メタバースの明らかなリスクです。

海外のメディアでよく報道されるのは、女性(のアバター)に対する

  • セクハラ
  • 痴漢

などです。
Meta(Facebook)が運営するメタバース「Horizo​​nWorlds」での集団痴漢の被害者の体験談ブログはかなり話題になりました。

NPO団体のSumOfUs(サムオブアス)によるメタバース調査レポートも強烈です。
レポートのタイトルは
「メタバース – 有害コンテンツの掃き溜め(Metaverse: another cesspool of toxic content)」
です。
タイトルがすべてを物語っています。

レポートのURLを紹介します。

https://www.sumofus.org/images/Metaverse_report_May_2022.pdf

レポート内ではHorizo​​nWorldsで女性が二人の男性に囲まれ、ひわいな言葉を浴びせられる様子が動画で公開されています。
動画のURLはこちら

NPO団体SumOfUs(サムオブアス)のメタバース調査レポート画像

NPO団体SumOfUs(サムオブアス)のメタバース調査レポート画像

アバターなら別に気にしなければいいじゃない
と感じる人もいると思います。
でもアバターはただのキャラクターではありません。
とくに、若いメタバースユーザーはアバターを自分のアイデンティティの延長だと考えています[3]PCgames:Roblox virtual makeup trends influence beauty brands in the metaverse

メタバースは「没入感」が特徴です。
利用者はメタバースで起きたことを、まるで現実世界での出来事のように感じます。
そんな空間で自分のアバターがセクハラや痴漢をされたら、心に深い傷を負いかねません。
なかには深刻なPTSD(心的外傷後ストレス障害)に陥るひとも出てくるはずです。

メタバースを運営する会社も対策はしていますが、完璧ではありません。
ユーザー側で被害を予防するのもなかなか難しいです。

変なことをする人はごくごく一部ですが、利用者はあらかじめ
「そういう事をする変な人や怖い人がいるんだ」
と認識して遊んだ方がよさそうです。

③ アバターへの「なりすまし」による被害

メタバースでは、アバターへの「なりすまし」も問題になります。

バターへの「なりすまし」とは、悪意を持つユーザーが特定人物そっくりのアバターを作り、その人になりすますことです。
これにより起こりうる被害としては

  • 家族のアバターになりすまし、銀行の口座番号や暗証番号を聞いてくる
  • 友達のアバターになりすまし、電話番号やLINEなど個人情報を聞き出す
  • 会社の同僚のアバターになりすまし、企業の機密情報を引き出す

などが考えられます。

簡単にいえば、さまざまな場所で「オレオレ詐欺」みたいなことがしやすいのです。
芸能人・有名人・インフルエンサーになりすます人もいるでしょうから、もし流行したら被害は大きくなります。

アバターのなりやすましについては、法律的に徐々に整備されていくはずです[4]GVA Professional Group:【弁護士解説】メタバース事業における法的課題と対策(3/4)
現状でも、この手法については「こういった詐欺がある」と知っていれば予防することも可能です。
もし知り合い(のアバター)とやりとりをしていて
「なんか変だな・・・」
と感じたら、大事な情報を渡さないようにしましょう。

④ 企業による膨大なパーソナルデータ収集

4つ目は、企業による膨大なパーソナルデータ収集です。
いわゆるプライバシーの問題ですね。

「無料で使えるサービスでは、サービスを使っているユーザー自身が商品(売り物)だ」
みたいな言葉があります。
たしかに、無料のWEBサービスの多くがユーザーの情報を活用してお金を稼いでいます。
代表格はFacebookでしょうか。
ものすごい勢いで世界中から叩かれましたが。

メタバースでは、運営会社はSNSよりも圧倒的に多くのパーソナルデータを収集できます。
ヘッドセットを利用したユーザーから収集したデータを分析すれば、95%の確率で個人を識別できたという研究[5]Nature:Personal identifiability of user tracking data during observation of 360-degree VR videoもあるくらいです。

企業から見ると、これだけの量のパーソナルデータはとても魅力的です。
なぜなら様々なビジネスに活用できるからです。

Somnium Space(ソムニウムスペース)というメタバースは、収集したデータを使い変わった取り組みをしています。
プロジェクトの名称は「Live Forever(永遠に生きる)」。
これは同意の上でユーザーのデータを収集し、ユーザーの死後にAI(人工知能)としてメタバース内に復活させるプロジェクトです。
実現可能かどうかはともかく、データがあればこんな野心的な取り組みも可能です。

とはいえ、パーソナルデータに関しては現在の世界ではなかなか悪用は難しいです。
とくにヨーロッパは個人情報収集に関してはとても厳しいですし、世界的に見てもパーソナルデータの悪用に対する関心は高まっています。

ただ、企業が悪用しなくてもハッキング等で情報が流出する可能性はゼロではありません。
だから必要な情報以外は渡さない、などの方法で自衛しておくと安心です。

ネットとメタバースのリテラシーで身を守る

ここまで、メタバースのリスク・危険性として4つ紹介しました。

記事では紹介しませんでしたが、メタバースには他にも様々な危険があります。
たとえば

  • NFTや仮想通貨をネタにした投資詐欺・セミナー等の勧誘
  • ナンパ・デートの勧誘
  • いじめ・誹謗中傷
  • メタバース依存症(中毒)

などですね。

これらはメタバース独特の問題ではなく、インターネット空間に常についてまわる問題です。
なので、この記事では詳しく解説しません。

これらのリスクから守ってくれるのは、インターネットに対してのリテラシーです。
もしメタバースが普及したら、メタバースリテラシーも重要になります。

しっかりした知識を身につけ、できるだけリスクを遠ざけましょう。

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