テクノロジーの急速な進化により、メタバースやVR(仮想空間)で仕事をすることが現実味を帯びつつあります。
けれど、じっさいメタバースやVRだけで仕事をしている人の話を聞いたことはほとんどありません。
現実的に考えて、仮想空間だけで仕事をするのは可能なのでしょうか?
こんな疑問を解決しようとしたのがドイツのコーブルク大学の研究チームです[1]研究はマイクロソフトやケンブリッジ大学と共同で行っています。。
研究チームはじっさいに人が仮想空間内だけで仕事をすると心身にどんな変化が起きるのかを実験し、その結果を発表しました。
その名も
「仮想空間で1週間仕事をすることによる影響を数値化する[2]Quantifying the Effects of Working in VR for One Week」
です。
実験内容を簡単に説明します。
研究チームは16人の参加者を募り(男性10名、女性6名)、Meta Quest2などの仕事につかえるVR機器を与えました。
そして、まるまる1週間(5日間)VRの中で仕事をしてもらいました。
勤務時間は1日8時間、そのうち休憩時間は45分です。
参加者にはその日の仕事が終わるたび
- 現実世界にあるオフィスでの仕事
- 仮想空間での仕事
この二つを比較し、研究チームが用意した複数の項目で採点してもらいました。
その結果、どうなったかを箇条書きで紹介します。
まずは何が増えたか。
- 仕事における負荷→35%増加
- 不安感→219%増加
- フラストレーション→42%増加
- 眼精疲労→48%増加
次は何が減ったか。
- 生産性→16%低下
- 幸福度→20%低下
- タイピング速度→8%低下
ご覧のとおり、仮想空間で仕事をすることは今のところかなり厳しそうです。
2人の被験者(男性1人、女性1人)は実験初日に吐き気、頭痛、不安を感じて脱落してしまったほどです。
けれど実験日数が経過するにつれ、VRでの仕事の悪影響は減っていたようです。
それに眼精疲労がすべてに悪影響を与えていた、なんて可能性もあります。
ただ単にMeta Quest2が長時間の利用に不向きだった可能性だってあります。
ただ、今のところはMeta Quest2を使って仕事をするのが過酷なのは間違いなさそうです。
この結果を見るとMeta(facebook)の将来が不安ですが、テクノロジーはさまざまな困難を解決してきました。
これからのテクノロジーの進化に期待しましょう。
引用・脚注
↑1 | 研究はマイクロソフトやケンブリッジ大学と共同で行っています。 |
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↑2 | Quantifying the Effects of Working in VR for One Week |
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