オランダのアムステルダムに本社がある高級ホテルグループのcitizenM(シチズンエム)が、メタバースを利用したマーケティング戦略を発表しました[1]dezeen:CitizenM to become “first hospitality company to build in the metaverse”。
まずcitizenMはメタバースのThe Sandboxの土地を購入しました。
そしてこの土地にメタバースホテルを建てる予定ですが、その資金はオリジナルのNFTコレクションの販売によって調達するそうです。
NFTの制作はデジタルアート分野で活躍しているクリエイターに依頼します。
ただ、2022年現在ではNFTがどれくらいの価格で、どのくらいの量を販売可能かは未知数です。
NFTのバブル的熱狂が終わったいま、NFTであれば何でも売れるなんてことはありえません。
そこでcitizenMはNFTの購入者(保有者)に対して特典をつけます。
特典とは、現実世界のcitizenMのホテルで利用できる
- 料金の割引
- 無料ドリンク
などです[2]Cision:citizenM Announces New Venture into the Metaverse。
つまり、citizenMのファンや利用者に対してのリターン(見返り)が発生するNFTというわけです。
これならcitizenMをよく利用する人はNFTを購入しやすいですよね。

citizenM公式サイト画像
ちなみにNFTは3つのグレードに分かれており、それぞれ発行数が決まっています。
- 通常のNFT→1500個
- 特別なNFT→450個
- 伝説的なNFT→50個
とうぜん、レアなNFTほど値段が高くリターンも大きくなる仕組みです。
ただ、これらのNFTを販売して得た資金の投入先であるメタバースのバーチャルホテルの建設目的がいまいち不明です。
「アバターがバーチャルに働き、眠り、遊ぶことができるホテル」[3]Cision:citizenM Announces New Venture into the Metaverse
のようですが、これでは魅力的とは言えません。
未発表の部分で何か仕組みがあるでしょうから、どんな仕組みのホテルが建設されるか楽しみですね。
メタバースホテルやNFTの販売で得たお金は最終的にはDAO(自律分散型組織)の設立にあてられます。
そして、NFT(トークン)の保有者はDAOの一員になります。
DAOに参加すれば現実世界のどの場所にcitizenMの新しいホテルを設置するのが投票権が得られます。
このように、現実世界とリンクしたNFTやDAOなら仮想通貨やNFTに馴染みがない客層も取り込みやすく、とても素晴らしい取り組みです。
なによりもわかりやすい報酬・見返りがあるので
- クラウドファンディング
- ファンクラブ
などに参加する感覚でNFTを購入できます。
メタバースでのマーケティングはまだまだ事例が少ないです。
citizenMの事例はかなり珍しい事例になりそうなので、継続的にニュース形式で記事にしたいと考えています。
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